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子どもとキャッシュレスを使い始める時に大切にしたい、3つのポイント【後編】

子どもとキャッシュレスを使い始める時に大切にしたい、3つのポイント【後編】

交通系ICカードなどを通して、子どもがキャッシュレスに触れる機会が増えているいま、お金について子どもとどのように話すかは、多くの家庭にとって関心の高いテーマの一つです。

前編では、キャッシュレス時代における子どもとお金の向き合い方について、東洋大学の川野祐司先生にお話を伺いました。後編では、キャッシュレスでお金のやりとりを始める際に、親子で意識しておきたいポイントについて、子どもの金融教育普及に取り組む、キッズ・マネー・スクール認定講師 中口裕子さんにお伺いします。

プロフィール
中口 裕子

一般社団日本こどもの生き抜く力育成協会が認定する、キッズ・マネー・スクール認定講師 本部トレーナー。2級ファイナンシャルプランニング技能士、日本FP協会AFP会員、証券外務員Ⅱ種、住宅ローンアドバイザー、iDeCoプランナー、子育て支援講座講師などの資格を持つ。

まずは現金で「お金の価値を知る」ところから

私は日々、お子さん向けのお金の講座を担当しています。最近では、キャッシュレスで買い物をする場面が増え、ママやパパがスマートフォンで決済する姿を子どもが目にする機会も多くなりました。そのため、子どもたちにとってスマホは、なんでも買える「魔法の機器」のように映っていることもあるようです。

実際、キッズマネースクールが主催する、4歳から8歳を対象にしたお金のイベントでクイズを行うと、5円玉の絵を見せても、それが5円だと答えられる子が少なくなっています。現金にふれる機会が減り、馴染みが薄れてきていることを実感する瞬間です。

子どもには、お金を使い始める前に、その価値をしっかり理解してほしいもの。お金は、家族が一生懸命働き、その結果として周りの人に喜んでもらえた対価として得られます。そうした背景を伝えるとともに、「お金は欲しいものと交換できる」という基本的な仕組みを理解してはじめて、お小遣いを渡すようにしたいですね。

お小遣いの最初の一歩としておすすめしたいのが、「現金」から始めることです。実は、私の子どもが以前、お店で10,000円札を出して9,000円と小銭のお釣りが返ってきた際、「お金が増えた」と喜んでいたことがありました。お金が「増える」「減る」という感覚は、数字だけでなく、目で見て手で触れることで身についていきます。まずは現金を通して、そうした実感を積み重ねていくことが重要です。

現金の感覚が身についたら、キャッシュレスへ

現金を通して、お金が「増える」「減る」という感覚が身についてきたタイミングで考えたいのが、キャッシュレスとの付き合い方です。

キャッシュレスとの最初の接点として多いのは、公共交通機関を使う場面でしょう。都心部では車を持たず、公共交通機関で移動する家庭も多く、幼稚園の頃から交通系ICカードを持たせているケースも少なくありません。

このとき大切なのは、現金をカードにチャージする場面を子どもに見せることです。「実際のお金がカードの中に入っている」ということを、目の前で示しながら伝えましょう。ICカードを使えばコンビニやスーパーで買い物ができることは、もう少し後になってから教えるのでもよいと思います。

キャッシュレスを始める時に大切にしたい3つのポイント

キャッシュレスを使い始める際に気になるのが、使いすぎをどう防ぐか、どこまでを許容するかといった家庭内のルールです。あくまで我が家で実践している方法ではありますが、実際に続けるなかで大切にしている心構えとポイントを、3つに分けてお話しします。

① 便利さとともに、デメリットも知ってもらう

キャッシュレス決済はお釣りが発生しないため、とても便利な支払い手段です。一方で、意識していないと使い過ぎてしまいやすく、また、すべての支払いをキャッシュレスで済ませられるわけではありません。

我が家では、毎月渡しているお小遣いについて、「現金で使う分」と「キャッシュレスで使う分」を、子ども自身に決めさせています。以前、娘が「全部キャッシュレスがいい」と言ったことがありましたが、夏祭りで現金しか使えず、何も買えなかった苦い経験をしていました。

その失敗を通して、子どもは「便利だけれど万能ではない」ということを実感したようで、今では「現金用」「キャッシュレス用」「貯金用」に分け、自分で計算して申告するようになっています。

② 金額と使い道は、子ども自身が決める

キャッシュレスにすると、どうしても親が管理したくなりがちですが、我が家では「いくらを何に使うか」を、できるだけ子どもに委ねています。親が細かく決めるのではなく、子ども自身が考えて選ぶことで、「使った結果」まで含めて学びにつながると考えているからです。

もちろん失敗することもありますが、その経験こそが、「次はどうしたら良いか」を考えるきっかけになる。お金を使うことと向き合う時間を見守ることも、大切な心構えの一つです。

③「お金の話ができる関係」をつくる

お金の使い方には、それぞれの家庭や子どもの考え方、価値観があり、ひとつの正解があるわけではありません。

そのため我が家では、子どもの利用履歴を気に掛けるよりも、お金について気軽に話せる雰囲気を家庭の中につくることを大切にしています。「お金のことを聞くとママやパパが困る」「いつもはぐらかされる」と子どもが感じてしまうと、いざトラブルに遭った時に相談しづらくなります。

子どもが初めてキャッシュレスを使う際、戸惑うのは子どもだけではありません。親にとっても、「使いすぎないだろうか」「友だち同士のトラブルに発展しないだろうか」と、不安を感じる場面は多いもの。

けれど、お金は本来、使うことで選択肢を広げてくれる前向きな存在です。お金を使うことで、できることが増えたり、誰かを喜ばせることもできる。人生を豊かにするツールの一つとして、お金と前向きに向き合う姿勢を、親子で育んでいけるとよいですね。

*1 2026年に全国の小学生(1〜6年生)とその保護者、祖父母世代を対象に実施した、昭和と令和で変わった「子どもを取り巻く環境と意識に関する調査

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